島根銀行 SBI マネープラザ株式会社 店舗長 須藤勝也 様

本日は、投資や資産運用について、特に「行動経済学」の観点からお話しします。近年は新NISAの開始もあり、個人投資家が増加し、株高や円安を背景に投資への関心が非常に高まっています。一方で、「この相場はいつまで続くのか」「これからどうなるのか」と不安を感じておられる方も多いと思います。私は、単にマーケットの話をするだけではなく、なぜ人は投資で失敗するのか、その背景にある人間心理についてお伝えしたいと考えています。
まず、現在の日本経済において重要なのは「インフレ対策」です。物価上昇に対して金利が追いついていない「実質金利マイナス」の状態が続いており、現金をそのまま持っているだけでは、実質的に資産価値が目減りしている状況です。例えば、以前100円で買えたおにぎりが200円になれば、同じ1万円でも買える数は半分になります。つまり、資産を増やすというよりも、「資産を守るための運用」が必要な時代になっています。また、日本は輸入に頼る部分が大きいため、円安が進むと物価上昇につながります。そうした中で、資産を円だけで保有するのではなく、外貨なども活用しながらインフレに備える視点が重要だと考えています。
続いて、行動経済学についてお話しします。人は合理的に行動すると考えられがちですが、実際には感情や心理的なバイアスに大きく左右されます。例えば、「確実に1万円もらえる」選択肢があると、多くの人はリスクを避けますが、「何もしなければ1万円失う」という状況になると、多くの人がリスクを取ろうとします。同じ確率でも、損失を避けたい心理が強く働くのです。
投資の世界でも、人は損切りができなかったり、自分に都合の良い情報だけを信じたり、多くの情報に振り回されて判断できなくなったりします。宝くじを「当たるかもしれない」と感じる心理や、テレビ通販で「7万円の商品が3万円」と聞くと得した気分になるのも、行動経済学で説明できる典型的な例です。
こうした心理的バイアスが、投資成績を悪化させる要因になります。本来は長期的に持ち続ければ成果が出る商品でも、相場が下がると不安になり売却してしまうことで、結果的に利益を逃してしまうケースが少なくありません。重要なのは、短期的な値動きに振り回されず、「何のために運用するのか」という目的を持つことです。私はこれを「ゴールベースアプローチ」としてお伝えしています。将来必要となる資金を見据え、長期的な視点で資産形成を行うことが大切だと思います。
最後に、投資先を考える際には、「市場そのものが成長しているか」を見ることが重要だとお話しします。伸びている市場や業界に投資することは、動く歩道に乗るようなもので、自然と前に進みやすくなります。一方、縮小する市場では、どれだけ努力しても成果を出しにくくなります。世界経済を見ると、アメリカをはじめ成長を続ける国々がある一方、日本は長期的に成長が鈍化しています。こうした世界の流れを理解しながら、長期的な視点で資産形成を考えていくことが重要だと考えています。
